序にかえて
テレビに、「人に歴史あり」という番組がある。功成り名を遂げた各界の名士が登場し、縁故の深いゲストがとりまいて、その輝かしい業績をたたえる。まことに結構な企てで ...
へら鮒釣りに関して
「釣りひとり」のかなりの部分を占めるへら鮒釣りに関しては、かなりマニアックな釣りなので、多くの方はあまり良くご存知ないと思います。 そこで、多少なりとも「釣りひ ...
へら竿のすべて(9)
竿は生きもの 私は海釣りに凝っている頃から竿が好きで横浜式の手ばね竿などは何本もつくった。見かけは悪くとも、実際には結構役に立ったものである。 ふとしたこと ...
へら竿のすべて(8)
「玉口」を開ける あと一回塗れば仕上りという段階あたりで、玉口に、差込の穴を開ける。玉口の糸も漆も相当に引き緊り、かなり肉薄(にくうす)に口を開けても十分に堪 ...
へら竿のすべて(7)
漆(うるし)の妙 まず、漆というものについて、ごく簡単にふれておこう。 漆の木は東洋の特産といわれ、日本・中国・台湾・ビルマ・タイ・インド・ベトナムなどが主 ...
へら竿のすべて(6)
「コミスリ」 さて、いよいよ、重大な「コミスリ」である。差し込みのテーパーづけである。コミは、接合によって玉口の中に姿を没す雄であり、雌、つまり玉口の口開けが ...
へら竿のすべて(5)
節抜き 次は中抜き(節抜きともいう)である。錐を回しながら、竹の内部を、節(隔壁)もろとも必要な広さにくりぬくのだが、二本に仕舞う関係で、元は、三番の最も太い ...
へら竿のすべて(4)
火入れ 「火入れ」とは、竹を火の上で焙(あぶ)り、充分に軟らかくした土で、矯め木をあてて、竹の曲がりやねじれなどの癖を矯め直し、竹を真直ぐに伸ばす作業のことであ ...
へら竿のすべて(3)
竿の設計 撰よりすぐった原材が、充分な管理に堪えて貯蔵できたとなると、次は、いよいよ現実に、一本ずつ、竿の各部にふさわしい竹を選びだし、それを組み合わせて、竿 ...
へら竿のすべて(2)
竹というもの 竹は、熱帯、亜熱帯に産し、約四十属六百種、世界最小といわれる福岡県方呂島笹(おろしまざさ)の可憐から、孟宗竹(もうそうちく)の巨大に至るまで、種 ...
へら竿のすべて(1)
竿に托す釣り人の夢 長い間いろんな釣を遍歴しているうちに、だんだんへらぶな釣り一本に絞られてきたのは、私にとってごく自然の成行であった。へらぶな釣りのすべてが ...
名竿「孤舟」の秘密(6)
名竿「孤舟」の秘密(6) 以上、旭匠さんの、作家精神について語ってきたつもりだが、これは、旭匠さんの天性の資質というだけではない。いつも、確実な理論によって支 ...
名竿「孤舟」の秘密(5)
名竿「孤舟」の秘密(5) 火入れの要諦は、まず、火造りであるといわれている。強いと同時に軟かい火、しかも、むらのない、静かな火でなければならない。強いばかりで ...
名竿「孤舟」の秘密(4)
名竿「孤舟」の秘密(4) 旭匠さんは丹波の生まれ、生涯の大半を大阪で過ごしたが、そのくせ、上方の、商人的雰囲気を嫌っていた。旦那衆の御機嫌をとり結ぶことで商売 ...
名竿「孤舟」の秘密(3)
名竿「孤舟」の秘密(3) 旭匠さんの竿作りは、へらぶな釣りと全く表裏一体の、求道的な創造活動として始まったという点はもっとも重要である。 そういえば、琵琶の ...
名竿「孤舟」の秘密(2)
名竿「孤舟」の秘密(2) 旭匠さんは、自らを、作者、あるいは作家と称した。竿師と呼ばれることを嫌っていた。竿師は、あくまでも職人であって、作家などといえる代物 ...