へら鮒釣りに関して

「釣りひとり」のかなりの部分を占めるへら鮒釣りに関しては、かなりマニアックな釣りなので、多くの方はあまり良くご存知ないと思います。

そこで、多少なりとも「釣りひとり」を読む際に役に立つ範囲で、簡単にへら鮒釣りを紹介しておきたいと思います。

へら鮒は琵琶湖の固有種だった

少し異なる説もありますが、一般的には琵琶湖に生息するゲンゴロウブナを養殖品種改良した魚がヘラブナとされています。

他の金ブナや銀ブナと違い、成長したゲンゴロウブナは水底を泳ぐことは少なく、ミミズなどの動物性のエサもあまり摂餌しません。植物性プランクトンを主食としています。

また、姿形がタイに似て立派なのも特徴です。ゲンゴロウブナの名前の由来に付いても諸説ありますが、源五郎という漁師だけがこのフナの取り方を知っていたのでゲンゴロウブナと呼ばれるようになった、などとも伝えられています。

関西から始まったへら鮒釣り

へら鮒は成長が早く、良好な環境で育てれば3年ほどで30cmを超えるまでになるそうです。

もともとは、貴重なタンパク源として養殖が始まったのだと思いますが、釣る事が難しいのが好まれたのか、大正時代には関西に釣堀ができました。当時は河内地方で盛んに養殖されていたので「カワチブナ」と呼ばれることもありました。

その後、やはり大正時代に関東にもへら鮒釣り堀が出来、次第に釣りの対象魚として認知されるようになりました。

戦後に「日本へら鮒釣り研究会」が発足して隆盛

昭和に入ると、関西では相変わらず釣堀(箱釣りとも言う)が主でしたが、関東では霞ヶ浦や佐原水郷での野釣りが発達しました。

戦前や戦中には、食料事情の悪化もあり、あらゆる物が食べる対象となりましたが、へら鮒はその中でもかなりのご馳走の部類に入っていたようです。

昭和25年には、日本へら鮒釣研究会が発足。以後、へら鮒釣りは飛躍発展を遂げ「釣りひとり」にも登場する孤舟や源竿師(げんかんし)などの名竿が生まれます。

山村聰さんが、へら鮒釣りを本格的に始めたのもこの頃だと思います。

釣り技ももちろん、竿やそのほかの道具類も次々と新しい物が開発されました。

へら鮒釣りの全盛期には、都心の大手デパートで「へら鮒竿展」が催され、サマーランドやよみうりランドなどの大型レジャー施設にも大規模なへら鮒釣堀が生まれました。

一般の人にも「へら鮒釣り」というと、「難しいんでしょ」というぐらいの認識が浸透したのもこの頃です。

「釣りひとり」に登場するへら鮒釣りの話は、ちょうどへら鮒釣りが絶頂期にある頃なのです。

余談ですが、「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」という言葉を聞いたことのある方も多いと思います。

へら鮒釣り師はよくこの鮒を「へら鮒」だと強弁しますが、上記で紹介したようにへら鮒釣り自体はそれほど古い釣りではありません。

「釣りは鮒に〜」の鮒は、そこかしこの小川にいた普通の鮒(真鮒と総称します)の事を指しています。

へら鮒釣りをもっと知りたい人には

へら鮒釣りは、今でも一定の人気があり、へら鮒釣りの専門誌が3誌、週刊のへら鮒新聞が1紙あるほどです。

さらにへら鮒釣りの事を知りたい方のために役立ちそうなWebサイトへのリンクを紹介しておきます。

へらぶなNET21 (*外部サイトです)

へらぶな釣りガイド (*外部サイトです)