名竿「孤舟」の秘密(1)
名竿「孤舟」の秘密(1) 名竿「孤舟」の作者、羽田旭匠さんが逝くなられた。まことにかけがえのない人を失ったものである。 旭匠さんは偉大であった。名竿「孤舟」 ...
落水記(4)
だんごや 「だんごや」というのは佐原の横利根にある、中島屋という釣宿のことである。古い店で、先代が、団子や寿司を売っていた頃の通称が、今にもちこされて、一種のペ ...
落水記(3)
精進湖 精進湖(しょうじこ)は、富士五湖のひとつ、火山による堰止湖の典型であり、隣の西湖(さいこ)とは、地下の溶岩の中で水が往来し、常に同じ水位を保っているの ...
落水記(2)
投網 人間はどうも、附和雷同性というか、ひょんなきっかけから、思いもよらない世界へ深入りするものである。 私が俳優になったのも、全くの偶然である。学生の頃、 ...
落水記(1)
磯山川 潮来(いたこ)の町から、北利根川を渡ると、有名な十二橋である。歌の文句の通り、季節には、あやめの咲き匂う、水郷独特の情緒であるが、近年はあやめも枯れ、 ...
金子四郎さんのこと(2)
金子四郎さんのこと(2) 私たちは、相変わらず黙って竿を並べていた。 「どうするつもり、これから?」 ふと、私が話しかけた。 「さあ。どうしようと思って」 ...
金子四郎さんのこと(1)
金子四郎さんのこと(1) 終戦直後、浅草稲荷町の東作へは、よく足を運んだものである。四世東作は、白髭を美しく伸ばした、いかにも柔和な人柄であったが、鮎や鮠(は ...
思い出の釣り(4)
冬の道仙田 利根川を越したところで、水戸街道を右に折れ、竜ヶ崎への近道を行くと、町の手前に、道仙田(どうせんだ)というところがある。これは、旧小貝川の氾濫の名 ...
思い出の釣り(3)
夜の相模湖 このダムが完成したのは、たしか、終戦後間もなくであったが、山歩きに明けくれた学生の頃には、もう工事がはじまっていたように思う。 わかさぎも釣った ...
思い出の釣り(2)
春の墓場沼 安食(あじき)の水郷に、墓場沼というのがあった。ここは素晴しい環境で、駅からも近く、安食周辺でも名代の釣場である。大型のへらぶながよく釣れた。それ ...
思い出の釣り(1)
稲村ヶ崎の夏 森 雅之君とは、別に、そう親しい間柄ではない。ある時期、どういうわけか急に親しくなり、暫くすると、他の俳優と同じように、仕事以外では極めて疎遠に ...
船と水
船と水 釣りの嫌いな人は、まず、ないように思う。何か特別なことがない限り、釣りに深入りする素質は誰にでもあるとみえて、ふだん見向きもしないひとでも、いざ機会が ...
釣りの店「ポイント」の顛末
釣りの店「ポイント」の顛末 「ポイント」というのは、昭和三十年頃から、足かけ七年ほど、私が経営していた釣具店の名前である。魚の釣れる急所の地点を、釣師はポイント ...
江戸前の釣り(5)
ふっこの寝浮子釣り 五百匁ぐらいまでのすずきを、江戸前では、ふっこと呼んでいた。この、ふっこの寝浮子釣りは、ひどく瓢軽で、のどかであった。波のまにまに横に寝て ...
江戸前の釣り(4)
道了杭のかいず釣り 道了杭(どうりゅう)のかいず釣りも名物のひとつであった。道了杭というのは、東京湾の入口、お台場の沖にある澪筋で、両側に太い杭がずらりと並ん ...