江戸前の釣り(3)
ぼらの喰わせ釣り 私が最も熱を上げたのは、ぼらの喰わせ釣りである。ぼらの釣り方は、各地いろいろあって、浮子釣りあり、帆立の流し釣りあり、岡からの梃子(てこ)釣 ...
江戸前の釣り(2)
青ぎすの脚立釣り 砂町から浦安へ抜ける途中に、葛西橋があった。人からきいたのが病みつきで、終戦直後よく通った。橋桁にからんでいる黒鯛が狙いなのだが、せいごも釣 ...
江戸前の釣り(1)
江戸前のはぜ 私が、旧制一高へ入ったあと、私の一家は、父の転任について姫路へ移住していた。当時、一高はまだ本郷にあり、全寮制であったから、新入生は全員、寮に入 ...
琵琶湖の釣り(4)
大津のタナゴ 船着場というものは、極めてロマンチックなものである。特に、静かな湖水の夕まぐれ、人影の絶えた桟橋には、色とりどりの船が、安らかに波に揺れている。 ...
琵琶湖の釣り(3)
今津の源五郎 へらぶなという魚は、琵琶湖の源五郎鮒と、真鮒の交配から生まれた新種だと、俗には言われている。本当のことは、はっきりしない。源五郎鮒は、網にはかか ...
琵琶湖の釣り(2)
落人の池 琵琶湖はもろこ釣りの本場である。関西ではどうしてこんな小さな魚に目の色を変えるのか。味の良いこともあるが、あくまで漁獲本位でない、繊細な釣趣が、京風 ...
琵琶湖の釣り(1)
瀬田川のはえ 私は、大学を出るとすぐ、縁あって、大阪道頓堀の舞台を踏むことになった。これが、職業俳優としての第一歩である。その後、二年足らずで、井上正夫先生の ...
水郷讃歌
釣りにひかれて知った水郷の風物なのだが、いまではどちらがさきといってみてもはじまらない。水郷の、あのなつかしさが、もうそのまま私の釣りなのだ。都会の生活の、ふ ...
序にかえて
テレビに、「人に歴史あり」という番組がある。功成り名を遂げた各界の名士が登場し、縁故の深いゲストがとりまいて、その輝かしい業績をたたえる。まことに結構な企てで ...